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  • いくつか恋愛心理学本を読んで学んだこと

    いくつか恋愛心理学本を読んで学んだこと

    最近、恋愛心理学の本をいくつか読んでみました。

    「どうすれば好かれるか?」というテクニックも興味深かったのですが、それ以上に「自分の心のあり方」についてハッとさせられる言葉がたくさんありました。

    私が特に気に入った言葉を、備忘録としてシェアします。


    💎 相手を変えるより、自分を磨く 相手をコントロールしようと必死になるより、自分磨きにエネルギーを使うほうがずっと魅力的になれます。変えられるのは自分だけ、ですね。

    💎 見返りのない愛を与える 「これだけしてあげたんだから」と求めず、ただ愛を与えられる人。そういう人が、結果的に一番深く愛される存在になります。

    💎 テクニックよりも「心」がすべて 相手を意図的に操ろうとする駆け引きは、意外と相手に伝わってしまうもの。 学んだテクニックが最高の効果を発揮するのは、そのベースに「相手を大切に想う心」があってこそです。

    💎 「何もしない時間」を持つ メンタルが強い人は、瞑想など「何もせず、何も考えない時間」を大切にしているそうです。心の余裕は、そういう空白の時間から生まれるのかもしれません。

    💎 言葉が自分を作る(自己成就予言) 「なりたい自分」を想像したり言葉にしたりすると、自然とその姿に近づいていきます。


    テクニックに頼るだけでなく、まずは自分の心を整えて、素敵な自分になりたいなと改めて思いました。

  • CUTIE STREET川本笑瑠に学ぶ仕事論。「誰が私を選んでくれるんだろう」と泣いた夜を超えて

    CUTIE STREET川本笑瑠に学ぶ仕事論。「誰が私を選んでくれるんだろう」と泣いた夜を超えて

    はじめに

    あるアイドルのインタビュー記事を、私はこれまでに50回以上読み返しています。 彼女の名は、**川本笑瑠(かわもと えみる)**さん。

    彼女が所属するアイドルグループ「CUTIE STREET」といえば、デビュー曲**「かわいいだけじゃだめですか?(通称:かわだめ)」**が大ブレイクを果たしており、誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。

    その数字はまさに桁違いです。

    • TikTok総再生回数:62億回以上
    • ストリーミング累計再生数:2億回突破
    • TikTok週間楽曲ランキング:5週連続1位

    https://www.youtube.com/watch?v=27w4hWpp2zM

    惜しくも2025年の年末の紅白歌合戦には選出されませんでしたが、間違いなく今の日本のアイドルシーンを牽引する存在であり、多くの人の憧れの的となっています。

    【川本 笑瑠(かわもと えみる)Profile】

    川本笑瑠 CUTIE STREET 公式プロフィール画像

    出典:PROFILE|CUTIE STREET OFFICIAL FANCLUB

    • 生年月日:2002年4月22日(22歳)
    • 出身地:神奈川県
    • 所属グループ:CUTIE STREET
    • メンバーカラー:オレンジ
    • 所属事務所:アソビシステム(KAWAII LAB.)

    華々しいスポットライトを浴びる彼女ですが、最初からこの場所にいたわけではありません。 小学6年生で活動を始めてからこのデビューを掴むまでには、10年にも及ぶ長い下積み時代がありました。

    「夢は叶う、とは簡単には言いたくない」 そう語る彼女の言葉の裏には、10年の重みと、私たちが仕事や生活の中で忘れかけている**「大切な真理」**が詰まっていました。

    今回は、記事の言葉を引用しながら、私が彼女の姿勢から学んだこと、そして「陰徳陽報」という言葉を通じて感じた、働く上でのヒントを共有します。

    1. 理想と現実が違っていても、腐らなければ「希望」は消えない

    記事の中で特にハッとさせられたのは、彼女が小学6年生から始まった活動初期を振り返るシーンです。

    幼い頃に憧れたキラキラした劇場とは違い、現実は地下のライブハウス。 当時の彼女は、あまりのギャップに衝撃を受けたといいます。

    ――いざ活動を始めてみて、どうでした?

    川本: 思い描いていた世界とは全然違っていて、びっくりしました。私の中でのアイドル像って、AKB48さんみたいな感じだったんですよ。秋葉原の劇場で、キラキラした衣装を着て、ファンの人がたくさんいて……みたいな。でも、実際始まった活動は、地下のライブハウスで、Tシャツに自前のスカートみたいな衣装で。スカートも何着も自分で買わないといけなくて。メイクも髪型も全部自分でやるし、ファンもの方もその当時はあまりいなくて。

    普通なら「こんなはずじゃなかった」「話が違う」と不貞腐れて、辞めてしまってもおかしくない状況です。 しかし、彼女は環境のせいにしませんでした。

    川本: でも、失望とかは全然なかったです。自分の心の中はすごくキラキラしていて、ここから頑張っていけば夢は叶うって根拠なく思っていたので。だから、思っていた世界と違っても、頑張る気持ちは全然変わらなかったです。

    「こんな地下でやっていたって誰も見てくれない」と嘆くのではなく、「今は違っても、頑張ればきっと夢は叶う」と信じて前に進む。 その純粋な**「希望」**を持ち続けた結果、彼女は10年越しに、かつて憧れていたキラキラしたアイドルの姿そのものになることができたのです。

    【仕事へのヒント:不本意な状況での向き合い方】 仕事でも、理想と現実は往々にして食い違います。 希望していない部署、誰からも評価されない地味な作業。「こんなことをするために会社に入ったんじゃない」と思うこともあるでしょう。 ですが、そこで腐るか、「この経験もいつか糧になる」と信じて向き合うかで、未来は分岐します。 理想と現実が違っていても、自分の心持ち次第で、未来への可能性は広げられるのだと教えられました。

    2. 「気持ち」は技術を超えて魅力になる

    彼女がCUTIE STREETへの加入を掴み取ったオーディションは、5日間にわたる過酷な合宿形式で行われました。 周りには候補生がたくさんいて、歌もダンスも上手い子ばかり。

    そんな中、彼女は深い劣等感に苛まれていました。 オーディション期間中、彼女は一度、大きく挫折しています。

    川本: 最後の発表の前ですね。それまでは、本当にボロボロで。(中略)歌もダンスも自信がないのに、それを1人で見られるっていう状況がもう本当に辛くて。案の定、ボロボロでした。歌もちゃんと歌えなかったし、ダンスも思うように踊れなくて……できることなら、huluで放送しないでほしいって思ったくらいです(笑)。

    その時の評価は散々なものでした。 ダンスの先生からは「何がしたかったのかわからなかった」、ボイトレの先生からは「途中でメンタルがやられちゃったね」という厳しい言葉。

    しかし、そこで総合プロデューサーの木村ミサさんがかけた言葉が、彼女を救いました。

    「メンタルを自分で保つことも、アイドルとしてすごく大切なことだから。たくさん泣いちゃってもいいけど、少しずつ自分の機嫌を上手に取って、頑張っていけたらいいね」

    自分の機嫌は自分で取る。メンタルを保つこともプロの仕事。 その言葉を胸に、彼女は最後の課題へ挑みました。

    川本: ここで絶対に受からなきゃいけないって気持ちで最後の課題に挑みました。間違えたりもしたけど、メンタルだけは絶対に崩さないって決めて、最後までやりきったんです。

    「間違えたとしても、メンタルだけは崩さない」。 この決意が、技術を超えて審査員であるボイストレーナーの先生の心を動かしました。

    川本: そしたら、オーディションの最後に、ボイトレの先生が泣いてくれて、「すっごく良かったよ」って褒めてくれたんです。(中略)「笑瑠の姿を見て、頑張ろうって思った」「あれはアイドルのあるべき姿だった」「人の心を動かしていたよ」って言ってもらえて。

    近年、仕事の現場では効率やテクニックが重視されがちですが、彼女のエピソードは**「思考や感情は、必ず外見や行動に滲み出て、相手に伝わる」**ということを証明しています。

    【仕事へのヒント:きれいごとよりも熱量】 どれだけ体裁の整った綺麗な資料を作っても、きれいごとの言葉を並べても、プレゼンをする人の腹の底に「熱意」がなければ、相手の心には響きません。 逆に、多少不器用でも、ミスがあったとしても、「どうしてもこれを届けたい」という純粋な想いは、理屈を超えて相手を動かす力になります。 小手先のテクニックではなく、まず自分の内面を整えること。それが結果的に、一番強い説得力になるのです。

    3. 努力を続けていけば、いつか光が当たる

    みなさんは**「陰徳陽報(いんとくようほう)」**という言葉をご存知でしょうか。 「人知れず良い行いをする(陰徳)と、やがて誰の目にも明らかな良い報い(陽報)がある」という意味の四字熟語です。

    CUTIE STREETの躍進について、川本さんは「自分が頑張ったから」ではなく、「運やタイミングのおかげ」と謙虚に語ります。

    川本: でも、自分が頑張ったから今があるとは、正直あまり思ってなくて。運とかタイミングとか、いろんなものが重なって、たまたまそうなったっていう気持ちがすごく強いんです。(中略)だから、やっぱり運と環境にもすごく恵まれていたなって、心から思います。

    しかし、62億回再生という数字は、魔法のように突然現れたわけではありません。 10年間、報われない時期があっても腐らず、ファンへの感謝を忘れず、ひたむきにステージに立ち続けたこと。その**「人に見えない積み重ね(陰徳)」**があったからこそ、巡るべくして巡ってきた「陽報」なのだと感じます。

    この姿勢を見て、私はある偉大なアスリートの言葉を思い出しました。 2004年、メジャーリーグでシーズン262安打という前人未到の大記録を打ち立てた直後のドキュメンタリーで、イチロー選手はこう語っています。

    「結局は細かいことを積み重ねることでしか頂上には行けない。それ以外に方法はないということですね。」

    野球界のレジェンドと、10年の下積みを経たアイドル。 住む世界は違っても、どちらも「人の心を動かす人気商売」であり、成功への道筋には共通点があります。

    近道や魔法を探すのではなく、イチロー選手が言うように、彼女もまた「細かいこと」を10年間積み重ねてきた。 「細かいことの積み重ね」こそが、とんでもない場所へ行くための王道なのです。

    【仕事へのヒント:チャンスが来た時に花開く】 仕事の成果や評価は、頑張った翌日にすぐ出るものではありません。 「こんなにやっているのに」と焦る気持ちを手放し、「今は陰徳を積んでいる時期だ」「細かいことを積み重ねている最中だ」と捉え直してみる。 そうして淡々と積み上げた信頼やスキルは、ある日突然チャンスが巡ってきた時に、一気に花開く可能性を秘めています。

    おわりに

    記事の最後で、彼女は個人の夢についてこう答えています。

    川本: 個人で活動することがグループの力になればいいと思っていて。自分にできることなら何でもやっていきたいです!

    個人の欲ではなく、グループのため、他者のために動く。 その利他の精神と、10年の重みに裏打ちされた言葉には、静かな凄みがあります。

    うまくいかない時、つい環境のせいにしてしまいそうな時。 私はこのインタビュー記事を読み返します。

    劇的な奇跡を待つのではなく、今日できることを丁寧に積み重ねる。 そんな当たり前のことの尊さを、川本笑瑠さんというアイドルが改めて教えてくれました。

  • 生成AI時代、弁護士に本当に必要なのは「知識量」より「交渉力」と「メンタルの強さ」かもしれない

    生成AI時代、弁護士に本当に必要なのは「知識量」より「交渉力」と「メンタルの強さ」かもしれない

    はじめに:ここでいう「弁護士」とは?

    ChatGPT をはじめとする生成AIが広がってから、

    「そのうちAIが判例も条文も全部出してくれるし、弁護士いらなくなるんじゃない?」

    という話を聞くことが増えました。

    ここでまずハッキリさせておきたいのは、この記事で言う「弁護士」は、

    • 裁判官(判事)
    • 検察官

    などは含めず、

    依頼者からの相談・代理を請け負う、いわゆる「町の弁護士」「企業法務の弁護士」

    を主な対象にしている、という点です。

    生成AI時代に変わっていくのは、

    • 法律の「調べもの」
    • 判例・文献のリサーチ
    • 書面のたたき台作成

    といった「知識と紙の仕事」の部分です。

    その一方で、むしろ価値が上がっていくのは、

    • 示談や和解の「落としどころ」をデザインする力
    • 感情的で難しい相手と折り合いをつける交渉力
    • 長期戦の訴訟・離婚・紛争を走り切るメンタルの強さ

    といった、人間くさい部分かもしれません。


    1. まず「弁護士の独占業務」を整理する

    1-1. 弁護士法72条が守っているもの

    日本の弁護士の根拠法である弁護士法72条には、ざっくり言うと:

    報酬を得る目的で、業として、他人の法律事件に関する法律事務を行ってはいけない
    (弁護士、または法律で特別に認められた人以外はダメ)

    というルールが書いてあります。

    ここでいう「法律事務」の典型例は、

    • 有償の法律相談
    • 示談・和解交渉の代理人になること
    • 調停・訴訟での代理人になること

    などです。

    つまり、

    「お金をもらって、法律トラブルの窓口・代理人になる」仕事は、基本的に弁護士の独占業務

    ということになります。

    1-2. 他士業との違い(司法書士など)

    もちろん例外もあって、

    • 認定司法書士には、簡易裁判所(140万円以下の民事事件)の訴訟代理権が与えられる
    • 行政書士は、官公署への申請書類作成などの分野で独占業務を持っている

    といった「他士業の守備範囲」もあります。

    それでもなお、

    • どの分野の法律相談でも受けられ
    • どの裁判所でも原則として代理人になれる

    という意味では、

    「報酬を得て、あらゆる法律トラブルの代理人になれる」のは弁護士だけ

    という位置づけは変わりません。


    2. 生成AIで変わる「弁護士の知識仕事」

    2-1. 判例検索・契約書レビュー・書面ドラフト

    すでに法律業界でも、

    • 判例データベース + 生成AI
    • 法令API + 生成AI

    を組み合わせて、

    • 「このケースに近い判例は?」を自然文で聞く
    • 関連する判例・文献を一気に列挙・要約させる
    • 契約書や訴状案のドラフトをAIに書かせて、人間がチェック・修正する

    といった使い方が広がりつつあります。

    これによって、

    • 手作業で判例を洗い出す時間
    • ゼロから書面を起案する時間

    は、大幅に短縮されていきます。

    言い換えると、

    「どの条文がどこにあるか」「あの判例の文言を正確に覚えているか」
    といった “六法全書記憶ゲーム” の価値は、確実に下がっていく

    ということです。

    2-2. それでも「弁護士にしかできない」中身は減らない

    ただし、AI がいくら判例を列挙してくれても、

    • この依頼者の生活状況
    • 相手方の性格・組織文化
    • 将来のリスク・しこりの残り方

    まで含めて「どの戦略を取るか」を決めるのは、やはり人間の弁護士です。

    • どの交渉カードをいつ切るか
    • あえて訴訟にせず、示談で終わらせるか
    • 言い分として何を主張し、何を飲むか

    こういった “ゲームのデザイン” は、条文知識と同じくらい、あるいはそれ以上に「人の感情」「社会感覚」を使う仕事です。


    3. 示談・和解の「落としどころ」を設計する力

    3-1. 裁判に行く前の「現実的な着地点」をどう描くか

    多くの紛争は、最終的に

    • 示談書
    • 和解調書
    • 調停条項

    といった形で「紙に落とし込まれた合意」に到達します。

    弁護士の現場で重要なのは、

    • 「この依頼者にとって、どこまで譲れば現実的に納得できるか」
    • 「相手方は、どこまで譲る余地がありそうか」

    という “両側の限界” を頭に置きながら、落としどころの帯を設計することです。

    これは AI が

    • 損害額の相場
    • 過去の判例のレンジ

    を出してくれたうえで、

    • 依頼者の本当に譲れないポイント
    • 相手が絶対に飲まないであろうライン
    • 合意が決裂したときの、訴訟コストの重さ

    などを見ながら、生身の人間同士で歩み寄る作業です。

    3-2. 「難しい相手」と向き合う交渉力

    示談や和解の相手は、必ずしも冷静な人とは限りません。

    • DV・モラハラ加害者
    • 自分の非を一切認めない加害側企業・担当者
    • SNSで炎上させるぞと脅してくる相手
    • 感情が爆発している元配偶者
    • 反社会的勢力や、それに近い言動・態度を取る相手

    など、「合理的な話し合いの土俵に乗ってくれない相手」とのやりとりも多い世界です。

    こうした場面で弁護士は、

    • 依頼者が直接ダメージを受けないように盾になりつつ
    • 相手の言い分を現実的なラインに引き戻し
    • 必要なら感情を“受け止めるだけ受け止めてから本題に戻す”

    といった、メンタル面のタフさとコミュ力をフル動員します。

    AI は、たしかに条件整理や条項案の生成は得意ですが、

    • 「怒鳴られながらも冷静に話を進める」
    • 「泣き崩れている依頼者を支えながら交渉方針を決める」

    といった “感情の矢面に立つ仕事” は、まだ人間の役割が非常に大きい部分です。


    4. 離婚・家族の争いは、これからも「人の仕事」

    4-1. 離婚の多くは「話し合い」で決着している

    日本の離婚件数は年間でおよそ18万件前後で推移していますが、その内訳を見ると、

    • 約8〜9割は「協議離婚」=当事者の話し合いで役所に届け出て終わる
    • 裁判所を使う「裁判離婚」は、全体の一部に過ぎない

    ことが分かります。

    しかし現場レベルでは、

    • 弁護士が裏側で契約書(離婚協議書)を作っている
    • 調停前に弁護士同士で条件をすり合わせている

    といったケースが少なくありません。

    4-2. 「離婚裁判はこれからもうかる?」の現実味

    少子化で婚姻数は減りつつありますが、

    • 経済的不安
    • 価値観の多様化
    • 共働き・共稼ぎの増加

    などを背景に、「離婚・別居・養育費・面会交流」をめぐる家族の争いは、今後も一定のニーズが見込まれます。

    ただし、ビジネス的な意味で「離婚裁判はこれからもうかる」と捉える前に、

    • 当事者の精神的ダメージの大きさ
    • 子どもへの影響
    • 長期戦になりやすく、弁護士自身のメンタル負荷も高い

    という現実もあります。

    ここでも求められるのは、

    条文や判例の知識だけでなく、「人の人生」を扱う覚悟と、感情の嵐の中でもブレないメンタル

    です。


    5. 生成AI時代、弁護士の独占業務は「どこに残るのか?」

    ここまでを踏まえると、生成AI時代における弁護士の「本当の独占業務」は、単に弁護士法72条の文言だけでなく、次のように整理できるかもしれません。

    責任を負って「代理人として名前を書く」仕事

    • 示談書・和解条項・訴状・答弁書などに、
      「この内容で依頼者の代理人を務める」と署名・記名押印すること
    • 万一のときは、専門家としての責任を問われる立場に立つこと

    AIと判例を踏まえたうえで、戦略を“決める”仕事

    • 攻めるのか、守るのか
    • 判決を取りに行くのか、和解で終わらせるのか
    • 条件をどこまで譲るのか

    感情的な場で交渉の舵を取る仕事

    • 怒り・不安・憎しみが渦巻く場で、話を戻し続ける
    • 依頼者の感情のケアと、交渉の冷静さを両立させる

    依頼者の人生全体を見て“出口”を一緒に探す仕事

    • 目先の勝ち負けだけでなく、
    • 仕事・家族・今後の生活まで見据えてアドバイスする

    こうした部分は、AIがどれだけ進歩しても「最後の一押し」を担いづらい領域です。


    6. 生成AI時代、「価値が高まる弁護士」の条件

    最後に、これから価値が高まる弁護士像を、医師編と対応させる形で整理してみます。

    ① AIを道具として使いこなせる人

    • 判例・文献検索や書面ドラフトをAIに任せ、
    • 自分は戦略と交渉に集中できるようにする

    ② 交渉の落としどころを設計できる人

    • 相場・判例だけでなく、
    • 依頼者の本音と相手の性格を読んで「現実的なライン」を描ける

    ③ 感情的に難しい相手と向き合える人

    • 怒鳴り声や無茶な要求に飲まれず、
    • 依頼者の心のダメージも最小限に抑えながら進められる

    ④ 長期戦でも折れないメンタルを持った人

    • 離婚・相続・労働・不祥事対応など、
    • 消耗しやすい案件でも、淡々と走り切れるタフさ

    ⑤ 「この人に任せたい」と思わせる人柄のある人

    • 依頼者にとって「六法全書の擬人化」ではなく、
    • 「人生の苦しい局面で、一緒に戦ってくれる味方」として見られる存在

    おわりに:弁護士像を「条文の番人」からアップデートする

    生成AIは、条文や判例の「場所」を覚えているだけの人の価値を下げます。

    一方で、

    • 人の感情に巻き込まれずに、しかし無視もせず
    • 依頼者の人生全体を見ながら、
    • 最後に責任を持ってサインできる人

    の価値は、これからむしろ上がっていくはずです。

    生成AI時代の弁護士に本当に必要なのは、
    「知識量」より、「交渉力」と「メンタルの強さ」。

    そう考えると、

    • 六法全書を丸暗記できるかどうかより
    • 難しい相手と向き合えるかどうか
    • 依頼者の人生の「出口」を一緒に探せるかどうか

    が、自分に弁護士の適性があるかを測る、新しい物差しになっていくのかもしれません。

    ※この記事は【生成AI時代の専門職を考える】シリーズの弁護士編です。
    すでに公開した「医師編」と合わせて読むと、AIが専門職に与える影響の共通点・違いが見えてきます。
    次回は、「公認会計士編」を予定しています。

  • 大学卒であることで明確に有利なこと

    大学卒であることで明確に有利なこと

    〜やりたいことがない凡人は奨学金を借りてでも大学に行こう!〜

    はじめに:私のいちばんの願い

    最初に正直に書いておきます。

    この文章の前半では、

    「大学卒であることで、こんなにハッキリ有利になる」

    という具体的な話をいくつか紹介します。

    ただ、本当に書きたいことの中心は、

    • 奨学金をどう捉えるか
    • 若い時間をどう使うか

    という部分です。

    私は今、

    「やりたいことが決まっていない凡人こそ、奨学金を“人生の事業資金”と考えて大学に行ってみてもいいのではないか」

    というスタンスを持っています。

    高校まで部活や勉強で全力疾走してきた人ほど、息切れしたまま

    「何も考えずにそのまま社会人になる」

    のは、かなりもったいないと感じています。
    人生の選択肢を自分で狭めてしまう危険もあると思うからです。

    「いろんな生き方があること」を知ってほしい——。
    そんな願いを込めて書くので、ぜひ最後まで読んでもらえたらうれしいです。


    目次

    1. 大卒というだけで受験資格が開く:社会保険労務士の例
    2. 海外コールセンターで働くときの「ビザの壁」を超えやすい
    3. 外国籍で日本で働く場合:通訳ビザの条件にも関わる
       ・一般的なルール
       ・通訳・翻訳・語学教師は“別枠”扱い
    4. イギリスとシンガポールの「大卒専用ビザ」という現実
       ・イギリス:High Potential Individual(HPI)ビザ
       ・シンガポール:Employment Pass(EP)とCOMPASSの「トップ校ボーナス」
       ・ざっくり比較表
    5. 大卒(非福祉系)でも、福祉系ダブル資格ルートが開ける
    6. 奨学金は「人生の事業資金」として考える
       ・「若い時間」を、“学生”という形で確保するという発想
       ・JASSOの奨学金は、条件を知ったうえで使う価値がある
       ・最悪どうにもならなかった場合は、ちゃんと法律が用意されている

    ① 大卒というだけで受験資格が開く:社会保険労務士の例

    「大卒」という肩書きがいちばんわかりやすく効いてくるのが、国家資格の受験資格です。

    たとえば社会保険労務士(社労士)。

    社労士試験の受験資格はざっくりいうと、

    • 大学・短大・専門学校(一定の要件を満たす)などを卒業している
       または
    • 社会保険や人事労務の実務経験が一定年以上ある

    のどちらかです。

    つまり、大卒であれば「実務経験ゼロ」から、いきなり国家試験に挑戦できます。

    逆に、高卒で実務経験枠から受けるなら、

    「まず数年どこかで働いてからでないと、受験スタートラインに立てない」

    ということになります。

    社労士に限らず、ほかの国家資格でも

    • 「大卒ならすぐOK」
    • 「大卒でない場合は◯年以上の実務経験が必要」

    というパターンはたくさんあります。


    ② 海外コールセンターで働くときの「ビザの壁」を超えやすい

    次は、海外のコールセンターで働くケースです。
    特に日本語話者向けの求人は、東南アジアだと

    • タイ
    • マレーシア

    あたりでよく見かけます。

    実際の求人を見ると、

    「日本人向けカスタマーサポート(バンコク勤務)」
    応募条件:学士号(Bachelor’s degree)以上(専攻は不問)
    福利厚生:ビザ・ワークパーミット支給

    とか、

    「日本語スピーカー向けカスタマーサポート(クアラルンプール勤務)」
    応募条件:日本語ネイティブ+英語日常会話、大学卒歓迎/ビザサポートあり

    のような条件がよくあります。

    つまり、

    「“ビザを出す前提”の正社員枠は、原則『大卒以上』」

    と書いてあることがかなり多い、ということです。

    東南アジア各国は、外国人に就労ビザを出すとき、

    「きちんとした学歴(多くは大卒以上)があるか」

    を一つの目安にする傾向があります。

    なので、

    • 20代のうちに海外で働いてみたい
    • 日本語×ちょっと英語くらいで海外を経験したい

    という場合、大卒というだけで「選べる求人の幅」がぐっと広がるイメージです。


    ③ 外国籍で日本で働く場合:通訳ビザの条件にも関わる

    今度は逆に、外国籍の人が日本で働く場合の話です。

    日本で、いわゆる「ホワイトカラー」として働くとき、多くの人が使うのが

    在留資格「技術・人文知識・国際業務」(いわゆる「技人国」)

    というビザです。

    この在留資格は、

    • 理工系エンジニア
    • 経理・人事・マーケティング
    • 通訳・翻訳・語学教師 など

    「専門的な知識・スキルを使う仕事」用のビザです。

    一般的なルール

    基本の条件はざっくり言うと、

    • 関連分野を専攻した大学卒・短大卒・専門学校卒
       または
    • 関連業務の長期実務経験(多くは10年以上、国際業務は3年以上)

    という形になっています。

    つまり、普通は

    「勉強した内容(専攻)と、これからやる仕事がそれなりに結びついていること」

    が求められます。

    もっと具体的に言うと、入管庁のガイドラインでは、

    • 「これから従事する仕事の内容」
    • 「大学や専門学校で専攻していた内容」

    の関連性がチェックされます。

    たとえば、

    • 企業のマーケティング部門や商品企画で働きたい場合
       → 商学・経営学・経済学などのビジネス系専攻だと説明しやすい
    • システムエンジニア・プログラマとして働きたい場合
       → 情報工学・コンピュータサイエンス・数学などの専攻が望ましい

    といったイメージです(もちろん、実務経験の積み方次第で例外もあります)。

    通訳・翻訳・語学教師は“別枠”扱い

    一方で、通訳・翻訳・語学教師の仕事については、少し特別扱いになっています。

    入管の基準では、国際業務分野について原則、

    「従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験」

    が必要だとしつつ、

    大学を卒業した者が「翻訳・通訳・語学の指導」に従事する場合は、この3年実務要件を免除する

    と明記されています。

    ポイントを一言でいうと、

    • 大学を卒業していない場合
       → 通訳・翻訳・語学教師でビザを取るには、3年以上の実務経験が必要
    • 大学を卒業していれば
       → 通訳・翻訳・語学教師については
        ・「3年以上の実務経験」が免除される
        ・通訳や翻訳を専攻していなくてもよい(専攻は別分野でもよい)

    ということです。

    たとえば、

    「母国語+日本語が得意な外国人の方」が、日本で通訳や語学教師として働きたいとき、 “大卒”という事実だけで、ビザのハードルがぐっと下がる場合がある

    というイメージです。

    私は入管実務の専門家ではありませんが、少なくとも

    「大卒であるかどうか」がビザの通りやすさに直結する場面が実際に存在する

    ということは、知っておいて損はないと思います。


    ④ イギリスとシンガポールの「大卒専用ビザ」という現実

    さらに一歩進んだ例として、

    「学歴そのものがビザの条件」

    になる国もあります。
    ここでは代表的な二つを取り上げます。

    • イギリス
    • シンガポール

    イギリス:High Potential Individual(HPI)ビザ

    イギリスには

    High Potential Individual(HPI)ビザ

    という、「特定の大学卒業者専用」の在留制度があります。

    ざっくりいうと:

    • 英政府が毎年指定する
       世界大学ランキング(QS・Times・上海ランキングなど)上位校のリストがある
    • そのリストに載っている大学を、過去5年以内に卒業した人は
       イギリスの雇用先が決まっていなくても、最長2〜3年イギリスに滞在し働くことができる

    という制度です。

    日本からだと、東京大学や京都大学などが対象大学として名前が挙がっています(年度によって変動します)。

    シンガポール:Employment Pass(EP)とCOMPASSの「トップ校ボーナス」

    シンガポールでは、ホワイトカラー向けの就労ビザとして

    Employment Pass(EP)

    があります。これに対しては「COMPASS」というポイント制が導入されていて、

    • 給与水準
    • 職務内容
    • 企業の多様性

    などに加えて、

    学歴の評価(Criterion C2:Qualifications)

    もポイント化されています。

    このC2では、

    指定された「トップティア大学・大学院」の学位を持っていると
    自動的に20ポイント加算される仕組み

    になっています。

    日本の大学で、この「トップティア」に含まれているとされるのは、

    • 東京大学
    • 京都大学
    • 大阪大学
    • 東北大学
    • 東京工業大学

    などがあり、近年は特定のMBAとして早稲田・慶應の一部プログラムも取り上げられています。

    EP取得にはトータル40ポイントが必要なので、

    大学名だけでその半分の20点をもらえる

    のは、かなり大きなアドバンテージです。

    ざっくり比較表

    • イギリス:High Potential Individual(HPI)ビザ
       - 仕組み:英政府指定のトップ大学を過去5年以内に卒業
       - 大卒条件:指定大学の学位
       - メリット:就職先が決まっていなくても英国で一定期間滞在・就労可
    • シンガポール:Employment Pass(EP)+COMPASS C2
       - 仕組み:学歴を含むポイント制(合計40点必要)
       - 大卒条件:指定「トップティア校」学位で20ポイント加算
       - メリット:就労ビザが取りやすくなる/条件を満たしやすい

    ここで言いたいのは、

    「名前のある大学に行け」

    という話ではありません。

    ただ、世界的に見ると

    「大学名そのものがビザの条件やボーナスになる」

    ケースが実在する、という事実は知っておいていいと思います。


    ⑤ 大卒(非福祉系)でも、福祉系ダブル資格ルートが開ける

    次は、日本の福祉系資格の話です。

    • 社会福祉士
    • 精神保健福祉士

    この2つは、どちらも国家資格で、福祉・医療・メンタルヘルスの現場ではかなり重宝されます。

    大卒(非福祉系)からのルート

    福祉系ではない学部を卒業していても、次のような「一般養成施設」を経由すれば、比較的短い期間で受験資格が得られます。

    〔社会福祉士の場合〕

    • 厚労省指定の「一般養成施設」(昼間/夜間/通信制など)に入学
    • 修業年限はおおむね1年以上(多くは1年半〜2年程度)
    • 修了すると、社会福祉士国家試験の受験資格が得られる

    〔精神保健福祉士の場合〕

    同じく厚労省指定の「精神保健福祉士 一般養成施設」(昼間・通信など)があり、

    • 4年制大学卒(分野は問わない)であれば
    • 1年以上の養成課程で受験資格を得られるコース

    が用意されています。

    〔ダブルライセンスへの近道イメージ〕

    さらに、一部の専門学校や通信課程では、

    • すでに精神保健福祉士を持っている人が
       1年程度の追加履修で社会福祉士も取れる
    • あるいはその逆(社会福祉士 → 精神保健福祉士)

    を想定したコースもあります。

    ゼロからいきなり「1年で両方とも取得」は現実的ではありませんが、

    • まず精神保健福祉士の一般養成(1〜1.5年)
    • その後、追加1年で社会福祉士養成(または逆ルート)

    という形で、合計2〜3年ほどでダブルライセンスに到達するルートは、

    大卒(非福祉系)だからこそ狙えるショートカット

    と言えます。

    大卒でない場合との違い

    一方、大卒資格がない場合は、

    • 福祉系の4年制大学に入り直す
    • 福祉系短大+実務経験+養成施設
    • 長期の実務経験+養成施設

    など、どうしても「年数」か「実務経験」が重くのしかかるルートが多くなります。

    ここでも、

    「とりあえず大卒」を持っておくだけで、後から方向転換したくなったときのルートが一気に増える

    というのは、大きなポイントだと感じます。


    ⑥ 奨学金は「人生の事業資金」として考える

    ここからが、私がいちばん伝えたい部分です。

    「若い時間」を、“学生”という形で確保するという発想

    私は、

    「奨学金 = 単なる借金」ではなく、「自分の人生の事業資金」

    と考えています。

    多くの人は、大学を出て就職すると、

    • お金は毎月それなりに入ってくる
      けれど
    • 使える時間・じっくり考える余白は、一気になくなる

    という状態になりがちです。

    だからこそ、まだ10代〜20代前半で、

    • やりたいことがよくわからない
    • 部活や勉強で走り続けて、むしろちょっと燃え尽きている

    という人ほど、

    無理に「すぐ就職」を選ぶのではなく、
    「学生」という、社会からも受け入れてもらいやすい立場で若い時間を確保する

    という選択肢を、真剣に検討してもいいのではないか、と私は思っています。

    高校まで部活などで突っ走って、心も身体も疲れている状態で、
    何の考えもなく社会人として働き始めてしまうと、

    • 自分は本当は何を大事にしたいのか
    • どこでどう生きていきたいのか

    を考える余白がないまま、気づけば年だけ取っていた……となるリスクもあります。

    奨学金で生活の最低ラインを確保しながら、

    • 勉強に振り切るもよし
    • とことん遊んでみるもよし
    • あえて「何もしない時間」を意識的に作るもよし

    だと私は感じています。

    JASSOの奨学金は、条件を知ったうえで使う価値がある

    日本学生支援機構(JASSO)の第二種奨学金(有利子)は、

    • 利率は上限が決められていて、民間ローンより低めに抑えられている
    • 利率の方式も「利率固定方式」と「利率見直し方式」から選べる
    • 貸与中・在学猶予中・返還期限猶予中は、利息がかからない期間がある

    といった特徴があります。

    返還が苦しくなった場合には、

    • 減額返還制度(毎月の返還額を一時的に半分・3分の1などに減らし、期間を伸ばす)
    • 返還期限猶予(一定の条件で、返還そのものを待ってもらう)

    といった制度も用意されています。

    もちろん、

    「安いからどんどん借りろ」

    という話ではありません。

    ただ、条件をきちんと理解したうえで、

    「若い時間を買う」選択肢として使う価値は十分にある

    と私は感じています。

    最悪どうにもならなかった場合は、ちゃんと法律が用意されている

    それでも、人生には予想外のことが起きます。

    • 病気になった
    • 家族の事情で働けなくなった
    • 思った以上に収入が伸びなかった

    そんなときの「最後の最後のセーフティネット」として、日本には

    • 自己破産
    • 個人再生

    など、法的な債務整理の制度も用意されています。

    自己破産のデメリットとしてよく挙げられるのは、

    • 官報に名前が載る
    • 一定期間、クレジットカードが作りにくくなる
    • 一部の職種に就けない期間がある

    といった点です。

    たしかに、これらは決して軽くはありません。
    でも、思い切ってポジティブに捉え直すと、

    • 官報を日常的にチェックしている人は、実際にはそう多くない
    • クレジットカードの代わりにデビットカードやプリペイドカードを使う手もある
    • 「一定の職種」以外にも仕事はたくさんある

    とも言えます。

    もちろん、

    「じゃあどんどん破産しよう」

    という話ではまったくありません。

    ただ、

    「どれだけ失敗しても、やり直しの制度が一応ちゃんと用意されている社会なんだ」

    という感覚を持っているだけでも、

    • 進学や留学
    • 転職や起業
    • 新しいチャレンジ

    に対する心理的なハードルを、少し下げてくれると私は思います。


    つまずいても、やり直して、また社会に関わり直していけばいい

    私は、たとえ奨学金の返済やお金のことで大きくつまずいてしまったとしても、
    また1からやり直して、少しずつ社会に貢献していけば、自分の失敗もいつか受け入れられるようになると感じています。

    最初のうちはきっと、

    「なんでこんな選択をしてしまったんだろう」
    「自分はダメな人間なんじゃないか」

    と、自分を責める気持ちが大きいかもしれません。

    でも、時間が経つ中で、

    • 目の前の仕事をちゃんとこなして、誰かに「ありがとう」と言われた瞬間
    • 税金や社会保険料をきちんと払い続けている自分に気づいたとき
    • 家族や友人、後輩など、身近な誰かの役に立てたと感じる場面

    そういう小さな出来事が少しずつ積み重なっていくと、

    「失敗した自分」=「終わった自分」

    ではなく、

    「失敗も含めて今の自分をつくっている一部なんだ」

    と、だんだん物語の中に組み込めるようになっていきます。

    一度つまずいたからといって、人としての価値が消えるわけではありません。
    やり直すチャンスにちゃんと手を伸ばして、もう一度、自分なりの形で社会に参加していくこと。

    その積み重ねが、いつか

    「過去の失敗も含めて、自分の人生だ」

    と思える日につながっていくと、私は信じています。

    そして、こうした考えを少しでも持つことができれば、

    「人生が詰んだ」「もう終わりだ」

    と感じてしまって、自分の命を手放そうとしてしまう人も、わずかでも減るのではないかと、個人的には思います。


    おわりに

    ここまで、

    • 大卒であることで開ける具体的なメリット
    • ビザや国家資格という、わりと“固い”話
    • 奨学金を「人生の事業資金」として捉える考え方

    を書いてきました。

    私は、

    「誰もが大学に行くべき」

    と言いたいわけではありません。

    ただ、

    「やりたいことが決まっていない凡人」こそ、奨学金を使ってでも一度ゆっくり考える時間を確保してみてもいいのではないか

    とは、本気で思っています。

    そして、この考えを少しでも共有できる人が増えれば、
    人生で苦しんだ時に自殺を選ばずに済む人も、きっと今より増えるのではないか——と、私は願っています。

  • 生成AI時代、公認会計士に本当に必要なのは「知識量」より外れ値を確認する力と倫理観かもしれない

    生成AI時代、公認会計士に本当に必要なのは「知識量」より外れ値を確認する力と倫理観かもしれない

    生成AI時代、公認会計士に本当に必要なのは「知識量」より「外れ値を実際に確認する力」と「倫理観」かもしれない

    ※この記事は約8分で読めます。

    はじめに:ここでいう「公認会計士」とは?

    ChatGPT をはじめとする生成AIが広がってから、

    「監査なんて、そのうちAIが全部チェックしてくれるんじゃない?」

    という話を聞くことが増えました。

    この記事で言う「公認会計士」は、

    日本の 公認会計士資格 を持ち

    監査法人や事務所で働く「監査のプロ」

    を主な対象にしています。

    生成AI時代に変わっていくのは、

    仕訳・取引データの チェック作業

    財務諸表や注記の 機械的な突き合わせ

    契約書・議事録などの 証憑読み込み・要約

    といった「大量の情報を機械的に当たる仕事」です。

    その一方で、むしろ価値が 上がっていく のは、

    AIが拾い上げた財務諸表の「外れ値」について、
    その意味を判断し、現場で本当に起きていることを確認しに行く力

    会社や経営陣に対して「NO」と言うべき場面で、ちゃんと言える倫理観

    投資家・社会からの信頼に、自分の名前で責任を持つ覚悟

    といった、人間のコアな部分かもしれません。

    1. 公認会計士の「独占業務」とはなにか

    1-1. 独占業務は、究極的には「監査意見にサインする仕事」

    税理士との違いを整理するとき、よく言われるのが:

    税理士の独占業務:税務書類の作成・税務代理・税務相談
    公認会計士の独占業務:財務諸表監査

    という整理です。

    法律の世界で具体的に言うと、

    金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の監査

    会社法に基づく「会計監査人監査」

    そのほか、学校法人・医療法人・社会福祉法人・労働組合・地方自治体など、様々な法令で「公認会計士または監査法人による監査」が要求されるケース

    などが、公認会計士・監査法人にしかできない領域です。

    シンプルに言い換えると、

    会社法や金融商品取引法に基づく財務書類の監査および証明業務
    (いわゆる「監査意見にサインをする仕事」)

    であり、

    究極的には、「監査意見にサインして、その内容にプロとして責任を持てること」

    が、公認会計士の独占業務だと考えられます。

    2. USCPAと無資格スタッフ:現場では「資格より役割」で仕事が分かれる

    2-1. USCPAは「挑戦しやすいが、サインはできない」

    実務の世界では、USCPA(米国公認会計士) も監査法人で普通に採用されています。

    Big4を含む大手監査法人では、USCPA合格者・全科目合格者を
    「監査経験不問」で積極採用している例が多い

    特に外資系や海外案件では、USCPAの英語力&IFRS / US GAAP の知識は重宝される

    といった状況があります。

    試験制度・勉強量の面でも、
    日本の公認会計士試験と USCPA には、次のような違いがあります。

    日本の公認会計士試験

    年1回の大きな本試験

    合格までに 2〜4年程度 の受験期間を取る人が多い

    勉強時間も、トータルで
    3,000〜5,000時間(短く見積もっても2,500時間前後)
    を目安にしている受験生が多い

    USCPA

    試験科目が4つに分かれていて、年間を通じて何度も受験できる

    4科目を分割して受けられるので、「まず1科目から」挑戦しやすい

    忙しい社会人でも、仕事と両立しながらスケジュールを組みやすい

    合格に必要な勉強時間の目安は、英語力や会計の前提知識によりますが、
    だいたい600〜1,000時間前後、多めに見ても1,000〜1,500時間程度

    つまり、

    「一発・年1回の超ボリューム試験」である日本の公認会計士試験に比べると、
    USCPA は 必要な勉強時間も少なめで、科目ごとに小刻みに受けられるぶん、心理的にも挑戦しやすい資格

    と言えます。

    ただしここは繰り返しですが、

    USCPA はあくまで「米国のCPA資格」であり、
    日本の法令に基づく監査報告書にサインできるのは、日本の公認会計士だけ

    という線引きは変わりません。

    チームの一員として監査手続を行う

    英文財務諸表や米国基準の案件を多く担当する

    ことはできても、最終的な監査意見に署名するのは、日本の公認会計士(または監査法人) という構図です。

    2-2. 無資格スタッフでも、実際の監査はかなり担当している

    もうひとつ重要なのが、

    「公認会計士資格がなくても、監査法人で“監査の実務”に携わることは普通にできる」

    という現実です。

    監査アシスタント

    ジュニアスタッフ

    アドバイザリー要員

    といったポジションには、公認会計士試験合格前の人や、その他の会計系資格・無資格の人も採用される ケースが多くあります。

    具体的には、

    仕訳データのチェック

    請求書・契約書などの証憑突合

    在庫立会や棚卸立会

    分析的手続(前期比や予算比の分析など)

    といった「手と頭を動かす監査手続」のかなりの部分は、
    チームの下層〜中堅スタッフ(無資格含む)が回している のが実態です。

    改めて整理すると、

    実務としての「監査手続」は、無資格やUSCPAでもかなりの部分を担える

    ただし「監査意見にサインして、法的な責任を負う」のは公認会計士だけ

    という、“資格より役割”で分かれている世界 だと言えます。

    3. 監査 × 生成AI:「外れ値をどう攻めるか」の時代へ

    3-1. 監査業界ではすでにAI活用が始まっている

    監査の世界でもすでに、

    監査計画フェーズ(企業・環境の理解、リスク評価)

    内部統制評価フェーズ

    実証手続(証憑突合、分析的手続、仕訳テスト、開示検証など)

    監査意見表明前の総括的検討

    といった場面で、AIが補助的に利用されていく ことが語られています。

    とくに、

    取引・仕訳データにおける異常検知

    不正リスクの高そうな部分の識別・評価

    といった領域で、AIや高度な分析ツールの活用が期待されています。

    3-2. AIで怪しい数字を炙り出し、人間が責任を持って確認する時代

    「財務諸表から外れ値を見つけて、そこを重点的につけばいいのでは?」

    という考え方は、まさに 現代監査の中核 に近い発想です。

    売上や利益率の推移

    在庫の回転期間

    貸倒引当金の水準

    特定取引先への売上比率の急変

    といった、データとしての「外れ値」「違和感のある動き」 を見つけるところは、
    これからどんどん AIに任せていく部分 になっていきます。

    ここで大事なのは、

    AIを使えば、「どこから調べ始めればいいか」の“とっかかり”をすばやく作れる

    という点です。

    「怪しいかもしれない勘定科目・取引先・月」をAIに洗い出してもらい

    公認会計士は、その中から 本当に危なそうなポイントを選び

    そこに対して、実物確認・ヒアリング・追加手続 を集中させる

    という役割分担が、かなり現実的になってきています。

    ただし、

    その外れ値が 「ビジネス上の正当な理由による変化」なのか

    それとも 「不正・粉飾の兆候」なのか

    あるいは 「会計処理の選択の結果」なのか

    を見極めるためには、

    実際に現場に行って 実物確認(棚卸立会など) をする

    担当者・経営陣から ヒアリング を行う

    契約書・稟議書・議事録などの 裏付け証拠を直接チェックする

    といった、人間による“当たり”の作業 が欠かせません。

    つまり、

    「怪しい数字を炙り出すところまではAIに任せて、
    その意味を判断し、現物・現場を責任を持って確認するのは人間の公認会計士がやる。」

    生成AI時代の監査は、
    「どこを見るかをAIが示し、どう見るか・どう結論づけるかを人間が決める」 方向に進んでいくのだと思います。

    3-3. 日本公認会計士協会も「AI×監査」を正面から特集している

    公認会計士側も、AIを“他人事”とは見ていません。


    公認会計士協会HPより
    日本公認会計士協会の公式サイトには
    「公認会計士業務とAI」 という特集ページがあり、冒頭で

    IT技術の進歩により、公認会計士の仕事がAIに代替されるという報道があるが、それは事実なのか、公認会計士業務は今後どう変化していくのか──

    という問題意識をはっきり掲げています。

    出典:日本公認会計士協会「公認会計士業務とAI」特集ページ

    この特集の中では、

    グローバル会計・監査フォーラム
    「AIを活用したビジネス・監査の展望と課題」(2019年開催)

    解説動画「公認会計士のしごととAI」

    会計・監査ジャーナルでのAI特集号

    協会役員によるショートビデオ・インタビュー

    などを通じて、「AIと競合するのではなく、どう活用して監査を変えるか」 が繰り返し議論されています。

    さらに、協会は
    パンフレット「監査業務におけるITの活用事例(改訂版)」 も公開しています。
    監査計画・実査・意見形成など、各フェーズでITをどう使っているかを事例でまとめたものです。

    日本公認会計士協会
    「監査業務におけるITの活用事例(改訂版)」
    👉 https://jicpa.or.jp/news/information/files/5-10-0-2-20181010.pdf

    このパンフレットの公表日は 2018年10月15日 で、内容自体も 2018年9月時点 の状況に基づいています。
    つまり、代表的な生成AIである ChatGPT(2022年公開)よりもかなり前の資料 です。

    今読むときは、

    当時からすでに IT・AI 活用への強い問題意識があったこと

    ただし、現在のような「生成AI」を前提にした議論ではないこと

    の2点を頭に置きつつ、

    「業界がどのタイミングからAI・ITに本気で向き合い始めたのか」

    を知るための参考資料として扱うのが良さそうです。

    4. それでも「倫理観」と「職業的懐疑心」は人間の領域

    4-1. AI時代ほど「職業的懐疑心」が重要になる

    公認会計士の基本姿勢としてよく言われるのが、

    “職業的懐疑心”(professional skepticism)

    です。

    経営者の説明を、無条件には信じない

    数字に違和感を覚えたら、説明を求め、証拠を確認する

    圧力や馴れ合いに流されず、「それはおかしい」と言い続ける

    この姿勢は、AIがどれだけ進化しても、
    最終的には人間の良心と倫理観に依存する部分 です。

    むしろ、

    AIがきれいなレポートを出してくれる

    ダッシュボードが「問題なし」と見せてくる

    世界だからこそ、

    「本当にそうか?」「この前提は妥当か?」

    と疑う習慣を持っているかどうかが、
    公認会計士としての差になっていきます。

    4-2. 独立性と「NOと言えること」

    公認会計士には、法令・基準レベルで「独立性」が求められます。

    利害関係が強すぎる会社の監査をしない

    経営陣からの過度な圧力に屈しない

    不適切な会計処理があれば、修正を求める・意見不表明も辞さない

    こうした行動は、AIには代行できません。

    生成AI時代の公認会計士にとって、本当の意味での「独占業務」は、

    データとAIの分析結果を踏まえたうえで、
    自分の名前で意見を表明し、
    必要なときには経営陣やクライアントに「NO」と言うこと

    なのかもしれません。

    5. 生成AI時代、「選ばれ続ける公認会計士」の条件

    ここまでの話をまとめて、
    これから価値が高まる公認会計士像を整理してみます。

    5-1. データとAIを味方につける人

    仕訳データ・取引データ・非財務情報を、AIや分析ツールで高速にさばける

    ルーティン手続を自動化し、自分は「判断」と「対話」に時間を使える

    5-2. 「外れ値レーダー」が鋭い人

    財務諸表の異常値・違和感のある動きを素早く嗅ぎ取れる

    AIのアラートを鵜呑みにするのではなく、「これは本当に重要な外れ値か?」と取捨選択できる

    5-3. 倫理観と職業的懐疑心を持ち続けられる人

    クライアントに気に入られることより、「正しい監査」を優先できる

    「この説明は筋が通っていない」と感じたとき、ちゃんと突っ込める

    5-4. ビジネスと社会の両方を見て話ができる人

    企業のビジネスモデル・業界構造を理解したうえでリスクを語れる

    投資家・金融機関・社会にとって、何が「信頼できる情報」なのかを説明できる

    おわりに:「数字の番人」から、「信頼の番人」へ

    生成AIは、

    仕訳データの異常検知

    財務諸表の自動チェック

    監査手続の効率化

    といった領域で、これからもどんどん活躍していくはずです。

    その流れの中で、公認会計士という職業は、

    「数字をチェックする人」から、
    「信頼に責任を持つ人」

    へと、静かにシフトしていくのではないでしょうか。

    知識量よりも、外れ値を実際に確認する力

    作業量よりも、NOと言える倫理観

    そして、AIと人間の役割分担を理解していること

    こうした要素を大事にする公認会計士が、
    生成AI時代にはいっそう “価値の高まる側” になると、私は思います。

    ※この記事は【生成AI時代の専門職を考える】シリーズの 公認会計士編 です。
    すでに公開した「医師編」「弁護士編」と合わせて読むと、
    AIが専門職に与える影響の共通点と、それぞれの職業ならではの違いが見えてきます。

  • 「先入観を外してみたら、働くのが少し楽しみになった」

    先入観より観察

    ホリエモンや野村克也さんの「先入観はよくない」という言葉が、ようやく自分の中で腹落ちした。
    僕はずっと、「これはやりたくない」「単純作業は退屈だ」と、やる前から仕事を区別していた。
    でもそれは、体験の前に扉を閉じる癖だったのかもしれない。

    仕事はタグじゃなく体験だった

    実際にやってみると、同じ作業でも人・場・時間帯でまったく違う顔を見せる。
    「どう楽しさを見出すか」を工夫する余地は、思っていたより大きい。
    手を動かしながら小さく改良する——その繰り返しが、退屈を学びに変えていく。

    朝食スタッフに惹かれた理由

    • 朝活のリズム:一日のはじまりに人の役に立てる心地よさ。
    • 感謝が見える仕事:温かい“おいしい”の一言がダイレクトに返ってくる。
    • 自分の課題と相性が良い:段取り・清潔感・気配り——伸ばしたい力と重なる。

    合わなければやめる——敬意をもって

    飛び込む勇気と同じくらい、「引き際の礼儀」も持っておきたい。
    迷惑を最小限にするために、

    1. 早めの相談、2) 引き継ぎメモ、3) ありがとうの言葉。
      この三つを守れば、挑戦と撤退はどちらも前向きな経験になるはずだ。

    これからの自分ルール(3つ)

    1. やる前に決めない:先入観より、まず観察。
    2. 小さく始めて小さく直す:1日の改善は“1mm”でいい。
    3. 反芻して次の一手:事実→気づき→翌日の具体1アクション。

    最後に。
    人間は環境に影響されるけれど、心の持ちようで環境の意味を変えられる
    このマインドで、僕はどんな仕事にも前向きに取り組める気がしている。
    まずは朝、キッチンから一歩目を踏み出してみる。

  • Hello world!

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