【犯罪心理学】連続殺人犯は何を考えているのか?4つの動機と捜査を阻む「VO関係」とは

犯罪心理学の解説:連続殺人犯の4つの動機と捜査の難しさ(VO関係)
連続殺人の定義と4つのタイプ分類図

映画やドラマ、あるいは実際のニュースで耳にする「連続殺人」。 私たちは時に恐怖し、時に「なぜそんなことを?」とその不可解な心理に関心を寄せます。

今回は「気軽に学ぶ犯罪心理学」として、以下のポイントを解説します。

  • 連続殺人の定義と「スプリー殺人」との違い
  • なぜ連続殺人の逮捕は難しいのか?(VO関係)
  • プロファイリングで見る「犯人の4つの動機」

有名な事件の事例も交えながら、その心理的背景を紐解いていきましょう。

連続殺人とは? ポイントは「冷却期間」

まず、学術的な定義から見ていきましょう。 犯罪心理学において、連続殺人(Serial Murder)とは、以下のように定義されます。

一人(まれに二人)の犯人が一度に一人(まれに二人以上)を殺害し、一定の犯行を行わない期間(これを冷却期間という)をはさんで、また殺害を行い、これを繰り返すタイプの殺人。

ここでの最大のポイントは**「冷却期間」**です。 犯行と犯行の間に、日常生活に戻ったり、次の犯行の計画を練ったりする心理的な休息期間が存在します。

一方で、この冷却期間がなく、短期間に場所を移動しながら衝動的に殺害を続けるものは**「スプリー殺人(Spree Murder)」**と呼ばれ、明確に区別されます。

なぜ連続殺人は「迷宮入り」しやすいのか?

通常の殺人事件と連続殺人事件では、警察の捜査難易度が大きく異なります。 その鍵を握るのが**「VO関係」**という概念です。

通常の殺人:VO関係がある

多くの殺人事件には、被害者(Victim)と加害者(Offender)の間に何らかの繋がりがあります。これをVO関係といいます。

  • 金銭の貸し借り
  • 愛人関係のもつれ
  • 個人的な恨み

こうした場合、捜査のセオリーは明確です。被害者の友人や家族から話を聞き、スマホの履歴やSNSを洗えば、トラブルになっている人物が浮かび上がります。「被害者を知る人物=犯人」であるケースが多いため、犯人を特定するのは比較的容易です。

連続殺人:VO関係がない

ところが、連続殺人の多くにはこのVO関係が存在しません。

例えば、性的な動機や歪んだ快楽のために、**「たまたま通りかかった見ず知らずの人」**をターゲットにするケースです。 被害者の身辺をどれだけ洗っても、犯人との接点は見つかりません。また、犯人が現場に遺留品を残したとしても、それが大量生産品のナイフや衣服であれば、そこから個人を特定するのは至難の業です。

「誰でもよかった」「たまたまそこにいた」。この無作為性が、連続殺人事件の捜査を一転して困難なものにしているのです。

連続殺人犯の4つのタイプ(動機による分類)

では、VO関係がない場合、彼らは何を動機に犯行に及ぶのでしょうか? FBI(連邦捜査局)などの研究に基づくプロファイリングでは、その動機によって主に4つのタイプに分類されています。

ここでは各タイプの特徴と、関連する日本の有名な事例(使命型・パワーコントロール型)を紹介します。

① 幻覚型(Visionary)

精神的な疾患や薬物の影響などにより、幻聴や幻覚に従って殺害を行うタイプです。 「神の声が聞こえた」「悪魔を退治しろと言われた」といった妄想が動機となり、特定の人物やグループを狙うことがあります。

② 使命型(Mission)

自らを何らかの「使命」を帯びた存在だと信じ込み、特定の属性を持つ人々(例えば、特定の職業の人や社会的弱者など)を「排除」しようとするタイプです。 彼らにとって殺人は、社会を浄化するための任務として正当化されます。

【事例:相模原障害者施設殺傷事件(2016年)】 ※厳密には「連続殺人(冷却期間がある)」ではなく「大量殺人(スプリー/マスマーダー)」に分類されますが、動機の心理構造としてはこの「使命型」の典型例として語られることが多い事件です。

犯人は「重度障害者は不幸を作ることしかできない」「それらを抹殺することが社会のためである」という独自の歪んだ正義感(使命感)を持っていました。 **特徴:**私利私欲ではなく、本人が信じる「社会正義」や「浄化」が動機になっている点。

③ 快楽型(Hedonistic)

殺害そのものや、それに至るプロセスから強い快楽(特に多いのが性的興奮)を得ることを目的とするタイプです。 自身の欲望を満たすことが最優先であり、被害者をサディスティックに拷問したりします。犯人のほとんどは男性であり、子どものころに虐待を受けた経験があることが多いとされています。

④ パワーコントロール型(Power/Control)

被害者を自身の完全な支配下に置くことに執着するタイプです。 相手の生死を自分が握っている、コントロールしているという「全能感」や「支配欲」を満たすことが主な動機となります。性的な要素が含まれることもありますが、根本にあるのは支配への渇望です。

【事例:北九州監禁殺人事件(1996-2002年発覚)】 犯人は直接自らの手を下すだけでなく、言葉巧みなマインドコントロールと通電による虐待で被害者家族を支配しました。被害者同士に殺し合いをさせるなど、他者の生殺与奪の権を完全に掌握することに執着しました。

**特徴:**性的快楽や金銭以上に、「人間を意のままに操る」という支配欲求が極めて強く表れている点。

おわりに

「連続殺人」とひとくくりにされがちですが、その背景には冷却期間の有無や、捜査を阻む人間関係の希薄さ、そして複雑な心理的動機が隠されています。

ニュースで凶悪事件が報じられたとき、「この事件にはVO関係があったのか?」「どのタイプに当てはまるのか?」という視点を持ってみると、事件のまた違った側面が見えてくるかもしれません。

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