タグ: CUTIESTREET

  • 「しごできベイビー」の正体。梅田みゆが体現する「外柔内剛」という美学

    「しごできベイビー」の正体。梅田みゆが体現する「外柔内剛」という美学

    目次

    1. はじめに:冷めた時代に見る「熱さ」の魅力
    2. チャンスには、とりあえず飛びかかってみる
    3. 「自分は普通」という最強の客観視
    4. 「アマは和して勝つ、プロは勝って和す」
    5. 「燃えるものを抑えられる奴が本物のエース」
    6. 固定センターのいないグループを支える「バランサー」
    7. おわりに

    1. はじめに:冷めた時代に見る「熱さ」の魅力

    最近の世の中は、どこか「熱くなること」を冷ややかな目で見る風潮があるように感じます。 必死に努力するのはダサい、スマートに結果を出すのがカッコいい。そんな空気が蔓延する中、泥臭い情熱は少し肩身が狭いかもしれません。

    しかし、アイドルグループ「CUTIE STREET」の梅田みゆ(うめだ みゆ)さんの言葉に触れたとき、「やっぱり『熱さ』も捨てたもんじゃない、むしろ重要だよな」と改めて感じさせられました。

    彼女の愛称は「しごできベイビー」。 身長150センチで、守ってあげたくなるような愛らしい「妹キャラ」の外見。しかしその内側には、心の中で強く熱くて燃え滾(たぎ)っている気持ちを持っています。

    彼女の在り方は、まさに**「外柔内剛(がいじゅうないごう)」**。 外見はもの柔らかでも、内面には鋼のような意志がある。 今回は、現代人が忘れかけている「内なる熱さ」の魅力を、彼女のインタビューから紐解いていきます。

    【梅田 みゆ(うめだ みゆ)】


    2. チャンスには、とりあえず飛びかかってみる

    彼女がアイドルになったきっかけは、非常にシンプルな「決断」からでした。

    **梅田:**最初は女子高生ミスコンに出ていたんですけど、その事務所さんから、「ミスコンに出ていた子たちでアイドルグループを作るからやってみないか?」と誘っていただきました。せっかくチャンスがあるなら挑戦してみようと思って、そこからアイドル活動を始めました。

    予期せぬ誘いであっても、「せっかくだから」とまずは挑戦してみる。 チャンスが目の前に現れたとき、あれこれ理由をつけて見送るのではなく、とりあえず飛びかかってみる。

    この軽やかな行動力こそが、未知の扉を開く第一歩であり、どんな仕事や人生の局面においても極めて重要なスタンスなのだと気づかされます。


    3. 「自分は普通」という最強の客観視

    記事の冒頭、彼女は自身の能力についてこう語っています。

    **梅田:**運動神経も本当に普通だと思っていて。特別できるわけでも、できないわけでもなくて。天才肌っていう感じじゃない。普通だからこそ、自分は努力型だなって思います。

    ここで重要なのは、彼女が決して自分を卑下しているわけではない、ということです。 「私なんてダメだ」という自己否定でもなければ、「私には才能がある」という過信でもない。「できないわけではないけれど、天才でもない」という、極めて**「客観的で冷静な自己評価」**を下しています。

    **梅田:**むしろ人一倍やらないとできないって自分でわかっているから、勉強とかも人一倍頑張っていましたね。

    今の自分の現在地を正確に把握しているからこそ、「人の倍やる」というシンプルな解に迷いなく辿り着ける。 斜に構えて努力から逃げることもなく、等身大の自分を受け入れて泥臭く積み上げる。その姿勢は、「天才」と呼ばれる人たちよりも遥かに強靭です。


    4. 「アマは和して勝つ、プロは勝って和す」

    今回のインタビューで特に印象的だったのが、かつて同じグループで活動していた盟友・増田彩乃さんに対する想いです。

    **梅田:**負けたくないというか、自分も貢献したいというか、グループが大きくなるためには、彩乃に追いつかなきゃって気持ちがすごく強かったんです。

    近年、プロ野球などのスポーツ界でも「他球団の選手とも仲が良すぎる」「もっとバチバチしてほしい」といった議論が交わされることがあります。アイドル界も同様に「仲の良さ」が全面に出ることが多い中で、彼女のこの発言は非常に稀有であり、ハッとさせられるものでした。

    私がこの関係性を見て思い出したのは、プロ野球・西鉄ライオンズの黄金期を築いた名将、三原脩(みはら おさむ)監督の言葉です。

    「アマは和して勝つ、プロは勝って和す」

    アマチュアは仲が良いから勝てるが、プロは勝つために切磋琢磨し、その結果として真の和(調和)が生まれる、という意味です。

    彼女たちの関係は、単なる仲良しクラブではありません。「グループが大きくなるためには、自分が彼女のレベルまで追いつかなければならない」という、組織全体を見据えた上での健全な対抗心。 互いに火をつけ合う「戦友」としての関係こそが、組織を強くするのだと教えられます。


    5. 「燃えるものを抑えられる奴が本物のエース」

    私が彼女を「シンプルに魅力的だ」と強く感じたのは、次の一言でした。

    梅田:(彩乃に追いつかなきゃって気持ちは)本人には言ってないですけど(笑)。 **梅田:**でも内心ではすごく燃えていて。

    「私はこんなに悔しい思いをしている」「こんなに頑張っている」と周りにアピールすることは簡単です。しかし、彼女はそれをしません。 負けず嫌いな感情や焦りは、すべて自分の内側に留め、それを自身の行動へのエネルギーに変換して昇華させました。

    この姿勢に、かつてプロ野球で歴代最多のアンダースロー投手として名を馳せた、山田久志さんの名言が重なります。

    「胸の中で燃えるものが無い奴なんか投手じゃない。そういうのが無いなら即刻やめるべき。だが、それを抑える事ができる奴が本物のエース」

    彼女はまさに、この「本物のエース」の条件を満たしているのではないでしょうか。 胸の中には誰にも負けないマグマのような闘志(燃えるもの)がある。しかし、それを表に出して感情的になるのではなく、グッと抑えて「アイドルとしての笑顔」や「パフォーマンス」に昇華させている。

    涼しい顔をしてステージに立ちながら、心の中では誰よりも熱く燃えている。 その**「言わぬ美学」**こそが、彼女の底知れない人間的魅力の正体なのかもしれません。


    6. 固定センターのいないグループを支える「バランサー」

    CUTIE STREETを含め、KAWAII LAB.のグループには公式に固定された「センター」というポジションが存在しません。 楽曲ごとにセンターが変わり、全員が主役になれるフラットな構造だからこそ、重要になるのが「全体を見る目」です。

    **梅田:**みんなが話し終わった時に、「何話したっけ、メモしなきゃ!」って話になって、私が「メモしてるよ!」って言ったら、みんなが、”しごできベイビー”ってつけてくれて。

    **梅田:**私は性格的にもバランスを取っちゃうタイプなんです。

    個性が強いメンバーが自由に輝けるのは、彼女のようなバランサーが土台を支えているからです。 会議で書記を務め、落ち込んでいるメンバーがいれば空気を変える。 「私が、私が」と前に出るのではなく、チームのために何が必要かを瞬時に判断し、黒子にもなれる聡明さ。 固定センターがいないグループにおいて、彼女のような存在は、ある意味でセンター以上に代わりのきかないポジションだと言えます。


    7. おわりに

    **梅田:**今すごく目標にしていることは、自分を好きになってくれた人、見てくれている人、ファンの人を絶対に幸せにするってことなんです。

    インタビューの最後、彼女は「絶対に幸せにする」と強い言葉で締めくくりました。

    スマートに生きることが良しとされる現代において、これほどまでに泥臭く、熱く、そして他者のために本気になれる人がどれだけいるでしょうか。

    見た目は良く幼くて可愛らしいと表現されがちですが、アイドルとして内なる熱さを秘めています。

    「外柔内剛」。 梅田みゆというアイドルの生き様は、私たちに「心の中で熱く燃えることのかっこよさ」を、静かに教えてくれている気がします。

  • CUTIE STREET川本笑瑠に学ぶ仕事論。「誰が私を選んでくれるんだろう」と泣いた夜を超えて

    CUTIE STREET川本笑瑠に学ぶ仕事論。「誰が私を選んでくれるんだろう」と泣いた夜を超えて

    はじめに

    あるアイドルのインタビュー記事を、私はこれまでに50回以上読み返しています。 彼女の名は、**川本笑瑠(かわもと えみる)**さん。

    彼女が所属するアイドルグループ「CUTIE STREET」といえば、デビュー曲**「かわいいだけじゃだめですか?(通称:かわだめ)」**が大ブレイクを果たしており、誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。

    その数字はまさに桁違いです。

    • TikTok総再生回数:62億回以上
    • ストリーミング累計再生数:2億回突破
    • TikTok週間楽曲ランキング:5週連続1位

    https://www.youtube.com/watch?v=27w4hWpp2zM

    惜しくも2025年の年末の紅白歌合戦には選出されませんでしたが、間違いなく今の日本のアイドルシーンを牽引する存在であり、多くの人の憧れの的となっています。

    【川本 笑瑠(かわもと えみる)Profile】

    川本笑瑠 CUTIE STREET 公式プロフィール画像

    出典:PROFILE|CUTIE STREET OFFICIAL FANCLUB

    • 生年月日:2002年4月22日(22歳)
    • 出身地:神奈川県
    • 所属グループ:CUTIE STREET
    • メンバーカラー:オレンジ
    • 所属事務所:アソビシステム(KAWAII LAB.)

    華々しいスポットライトを浴びる彼女ですが、最初からこの場所にいたわけではありません。 小学6年生で活動を始めてからこのデビューを掴むまでには、10年にも及ぶ長い下積み時代がありました。

    「夢は叶う、とは簡単には言いたくない」 そう語る彼女の言葉の裏には、10年の重みと、私たちが仕事や生活の中で忘れかけている**「大切な真理」**が詰まっていました。

    今回は、記事の言葉を引用しながら、私が彼女の姿勢から学んだこと、そして「陰徳陽報」という言葉を通じて感じた、働く上でのヒントを共有します。

    1. 理想と現実が違っていても、腐らなければ「希望」は消えない

    記事の中で特にハッとさせられたのは、彼女が小学6年生から始まった活動初期を振り返るシーンです。

    幼い頃に憧れたキラキラした劇場とは違い、現実は地下のライブハウス。 当時の彼女は、あまりのギャップに衝撃を受けたといいます。

    ――いざ活動を始めてみて、どうでした?

    川本: 思い描いていた世界とは全然違っていて、びっくりしました。私の中でのアイドル像って、AKB48さんみたいな感じだったんですよ。秋葉原の劇場で、キラキラした衣装を着て、ファンの人がたくさんいて……みたいな。でも、実際始まった活動は、地下のライブハウスで、Tシャツに自前のスカートみたいな衣装で。スカートも何着も自分で買わないといけなくて。メイクも髪型も全部自分でやるし、ファンもの方もその当時はあまりいなくて。

    普通なら「こんなはずじゃなかった」「話が違う」と不貞腐れて、辞めてしまってもおかしくない状況です。 しかし、彼女は環境のせいにしませんでした。

    川本: でも、失望とかは全然なかったです。自分の心の中はすごくキラキラしていて、ここから頑張っていけば夢は叶うって根拠なく思っていたので。だから、思っていた世界と違っても、頑張る気持ちは全然変わらなかったです。

    「こんな地下でやっていたって誰も見てくれない」と嘆くのではなく、「今は違っても、頑張ればきっと夢は叶う」と信じて前に進む。 その純粋な**「希望」**を持ち続けた結果、彼女は10年越しに、かつて憧れていたキラキラしたアイドルの姿そのものになることができたのです。

    【仕事へのヒント:不本意な状況での向き合い方】 仕事でも、理想と現実は往々にして食い違います。 希望していない部署、誰からも評価されない地味な作業。「こんなことをするために会社に入ったんじゃない」と思うこともあるでしょう。 ですが、そこで腐るか、「この経験もいつか糧になる」と信じて向き合うかで、未来は分岐します。 理想と現実が違っていても、自分の心持ち次第で、未来への可能性は広げられるのだと教えられました。

    2. 「気持ち」は技術を超えて魅力になる

    彼女がCUTIE STREETへの加入を掴み取ったオーディションは、5日間にわたる過酷な合宿形式で行われました。 周りには候補生がたくさんいて、歌もダンスも上手い子ばかり。

    そんな中、彼女は深い劣等感に苛まれていました。 オーディション期間中、彼女は一度、大きく挫折しています。

    川本: 最後の発表の前ですね。それまでは、本当にボロボロで。(中略)歌もダンスも自信がないのに、それを1人で見られるっていう状況がもう本当に辛くて。案の定、ボロボロでした。歌もちゃんと歌えなかったし、ダンスも思うように踊れなくて……できることなら、huluで放送しないでほしいって思ったくらいです(笑)。

    その時の評価は散々なものでした。 ダンスの先生からは「何がしたかったのかわからなかった」、ボイトレの先生からは「途中でメンタルがやられちゃったね」という厳しい言葉。

    しかし、そこで総合プロデューサーの木村ミサさんがかけた言葉が、彼女を救いました。

    「メンタルを自分で保つことも、アイドルとしてすごく大切なことだから。たくさん泣いちゃってもいいけど、少しずつ自分の機嫌を上手に取って、頑張っていけたらいいね」

    自分の機嫌は自分で取る。メンタルを保つこともプロの仕事。 その言葉を胸に、彼女は最後の課題へ挑みました。

    川本: ここで絶対に受からなきゃいけないって気持ちで最後の課題に挑みました。間違えたりもしたけど、メンタルだけは絶対に崩さないって決めて、最後までやりきったんです。

    「間違えたとしても、メンタルだけは崩さない」。 この決意が、技術を超えて審査員であるボイストレーナーの先生の心を動かしました。

    川本: そしたら、オーディションの最後に、ボイトレの先生が泣いてくれて、「すっごく良かったよ」って褒めてくれたんです。(中略)「笑瑠の姿を見て、頑張ろうって思った」「あれはアイドルのあるべき姿だった」「人の心を動かしていたよ」って言ってもらえて。

    近年、仕事の現場では効率やテクニックが重視されがちですが、彼女のエピソードは**「思考や感情は、必ず外見や行動に滲み出て、相手に伝わる」**ということを証明しています。

    【仕事へのヒント:きれいごとよりも熱量】 どれだけ体裁の整った綺麗な資料を作っても、きれいごとの言葉を並べても、プレゼンをする人の腹の底に「熱意」がなければ、相手の心には響きません。 逆に、多少不器用でも、ミスがあったとしても、「どうしてもこれを届けたい」という純粋な想いは、理屈を超えて相手を動かす力になります。 小手先のテクニックではなく、まず自分の内面を整えること。それが結果的に、一番強い説得力になるのです。

    3. 努力を続けていけば、いつか光が当たる

    みなさんは**「陰徳陽報(いんとくようほう)」**という言葉をご存知でしょうか。 「人知れず良い行いをする(陰徳)と、やがて誰の目にも明らかな良い報い(陽報)がある」という意味の四字熟語です。

    CUTIE STREETの躍進について、川本さんは「自分が頑張ったから」ではなく、「運やタイミングのおかげ」と謙虚に語ります。

    川本: でも、自分が頑張ったから今があるとは、正直あまり思ってなくて。運とかタイミングとか、いろんなものが重なって、たまたまそうなったっていう気持ちがすごく強いんです。(中略)だから、やっぱり運と環境にもすごく恵まれていたなって、心から思います。

    しかし、62億回再生という数字は、魔法のように突然現れたわけではありません。 10年間、報われない時期があっても腐らず、ファンへの感謝を忘れず、ひたむきにステージに立ち続けたこと。その**「人に見えない積み重ね(陰徳)」**があったからこそ、巡るべくして巡ってきた「陽報」なのだと感じます。

    この姿勢を見て、私はある偉大なアスリートの言葉を思い出しました。 2004年、メジャーリーグでシーズン262安打という前人未到の大記録を打ち立てた直後のドキュメンタリーで、イチロー選手はこう語っています。

    「結局は細かいことを積み重ねることでしか頂上には行けない。それ以外に方法はないということですね。」

    野球界のレジェンドと、10年の下積みを経たアイドル。 住む世界は違っても、どちらも「人の心を動かす人気商売」であり、成功への道筋には共通点があります。

    近道や魔法を探すのではなく、イチロー選手が言うように、彼女もまた「細かいこと」を10年間積み重ねてきた。 「細かいことの積み重ね」こそが、とんでもない場所へ行くための王道なのです。

    【仕事へのヒント:チャンスが来た時に花開く】 仕事の成果や評価は、頑張った翌日にすぐ出るものではありません。 「こんなにやっているのに」と焦る気持ちを手放し、「今は陰徳を積んでいる時期だ」「細かいことを積み重ねている最中だ」と捉え直してみる。 そうして淡々と積み上げた信頼やスキルは、ある日突然チャンスが巡ってきた時に、一気に花開く可能性を秘めています。

    おわりに

    記事の最後で、彼女は個人の夢についてこう答えています。

    川本: 個人で活動することがグループの力になればいいと思っていて。自分にできることなら何でもやっていきたいです!

    個人の欲ではなく、グループのため、他者のために動く。 その利他の精神と、10年の重みに裏打ちされた言葉には、静かな凄みがあります。

    うまくいかない時、つい環境のせいにしてしまいそうな時。 私はこのインタビュー記事を読み返します。

    劇的な奇跡を待つのではなく、今日できることを丁寧に積み重ねる。 そんな当たり前のことの尊さを、川本笑瑠さんというアイドルが改めて教えてくれました。