「資格を取っても、実務経験がないと意味ないよ」
こんなこと、一度は言われたことがあるんじゃないだろうか。
正直、これは半分正しい。
簿記2級を持っていても経理の経験がなければ「即戦力」とは見てもらえないし、TOEICで高得点を出しても英語を使った仕事をしていなければ「で、実際に使えるの?」となる。
でも——ちょっと待ってほしい。
世の中には「その資格がないと、そもそも実務経験を積む場所にすら立てない」という資格がある。
それが業務独占資格だ。
「資格は取っても意味がない」って本当? 業務独占資格の話をしよう | 記事編集 | note
そもそも業務独占資格って何?
簡単に言うと、「持っている人だけがその仕事をしていい」と法律で決まっている資格のこと。
資格のない人が同じ仕事をやったら、それは違法になる。
実はこれ、日本国憲法第22条の「職業選択の自由」に対する例外として設けられているものだ。
本来、日本では誰でも好きな仕事に就く自由がある。
でも、人の命や財産、社会の安全に関わるような仕事は「誰でもどうぞ」とはいかない。
だから国が「この仕事は、ちゃんと基準をクリアした人だけね」と定めた——それが業務独占資格の正体だ。
だから「実務経験がないと意味がない」という話は、この資格には通用しない。
資格を取ることが、スタートラインに立つための唯一の方法なのだ。
似ているようで全然違う「名称独占資格」に注意
ここ、けっこう混同されがちなので丁寧に説明したい。
世の中には「名称独占資格」というものもある。
栄養士、保育士、社会福祉士、中小企業診断士などがこれにあたる。
名称独占資格は何を独占しているかというと、「その名前を名乗る権利」だけだ。
たとえば栄養士の資格を持っていない人が「私は栄養士です」と名乗って仕事をするのはNG。
でも「栄養士」と名乗らなければ、献立を作ったり栄養に関する業務に携わること自体は法律上OKなのだ。
業務独占資格は「仕事そのもの」を守っていて、名称独占資格は「肩書き」を守っている。
この違い、けっこう大きい。
どんな資格が業務独占資格にあたるの?
身近なところにたくさんある。
医療・福祉系
医師、歯科医師、看護師、助産師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、あん摩マッサージ指圧師、薬剤師。
どれも人の体に直接関わる仕事だ。どんなに医学の知識があっても、資格なしに患者を診ることはできない。「独学で勉強したんで診ます」は通らない。
法律・お金系
弁護士、司法書士、行政書士、税理士、公認会計士。
法律相談や税務申告を無資格でお金をもらってやったら犯罪になる。「詳しいから代わりにやってあげる」も当然アウトだ。
教育・くらし・技術系
教職員、美容師、危険物取扱者、電気工事士、電気主任技術者。
学校の先生も、美容室でハサミを握ることも、電気工事をすることも、資格なしでは法律上できない。意外と身近な仕事がズラリと並んでいる。
業務独占資格の強みを3つあげると
① ライバルが法律上、存在できない
普通のビジネスなら、自分より安く同じことをする競合が現れるリスクがある。
でも業務独占資格の仕事は、無資格者は参入できない。国が法律でブロックしてくれているようなものだ。
② 資格=「やっていい人」の証明になる
普通の資格は「持っていても実際どうなの?」と思われがちだ。
でも業務独占資格は違う。
資格を取った瞬間、「この仕事をしていい人」として認められる。
まず土俵に上がれるかどうかが、資格の有無で決まる。
③ 「信頼」が最初からついてくる
医師に診てもらうとき、弁護士に相談するとき、私たちは「資格を持っているから信頼できる」と感じている。
その信頼は、個人の実績を積み上げるだけでは簡単に手に入らないものだ。
まとめ
「資格は実務経験がないと意味がない」——この言葉は、業務独占資格には当てはまらない。
医療、法律、会計、教育、技術。
これらの分野では、資格を取ることが「その仕事を始める唯一の条件」だ。
名称独占資格と混同しないようにしつつ、自分が目指す資格がどちらに当たるかを確認してみてほしい。
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